連載エッセイ

箱根旅行の尽きない魅力

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私は旅行に行くのが好きだ。

特に、行ったことのない、はじめての場所を訪れる時には、行く前からどんなところかと想像するだけで楽しいものである。

しかし、「行ったことのない場所」に行くことだけが旅行ではない。

時には、「もう行ったことがあるけど、何度でもまた行きたくなる場所がある」ということもあるのではないだろうか。

私にとっては、「箱根」がそんな場所だった。

「だった」と言っているのは、それがもう10年以上も前のことだからだ。

ずいぶんと昔のことではあるが、最近その当時のことを思い返す機会があったので、ここでは「箱根旅行の魅力」について書きたいと思う。

当時、私は都内近郊に住んでいて、箱根(厳密には箱根登山鉄道 箱根湯本駅)までは、電車を乗り継いで2時間ほどで出ることができた。

そして、平日休みが多かった私は、ゆっくりと観光できそうな平日の天気の良い日を選んで、ふらりと一人で箱根までよく行っていたのである。

多い時には、だいたい1~2ヶ月に1回のペースで行っていた。

訪れた回数で言うと、全部で10回以上は足を運んでいただろう。

旅のスケジュールはいつも同じパターンで、まずは小田急線と箱根登山鉄道を乗り継いで箱根湯本駅まで出て、そこからは箱根登山バスを使って観光地を巡り、夕方から夜に箱根湯本駅に戻って帰途につく、という流れの日帰り旅行である。

しかし、何回行っても飽きることはなかった。

それどころか、箱根湯本駅に着くと、「ああ、また箱根に来たなあ」という安心感のようなものを感じられるのが、箱根という場所だった。

なので、箱根湯本駅には何度も訪れていて、駅前にある商店街などは、行くにつれてすっかり見慣れた場所となったが、この駅前の風景もけっこう好きだった。

商店街には、たくさんの土産物屋や飲食店が並んでいる。

そこには、「老舗」を思わせる、どこか昔懐かしい感じのする店もある。

なので、何となくその景観に風情を感じて、そこに足を踏み入れただけでも、日常の喧騒から離れ、違う空間に足を踏み入れたような気持ちになれたのである。

箱根湯本駅前の商店街にいるだけでも居心地の良さを感じられたが、それ以外のところでも、「きれいなもの」「のんびりとできる場所」「神社巡り」が好きな私とって、箱根は魅力の宝庫だった。

観光スポットの多い箱根は、絶景スポット、美術館、ロープウエイ、温泉施設など、さまざまな種類の場所を訪れることができた。

たとえば、「ポーラ美術館」や「箱根ラリック美術館」で美術鑑賞をし、その後は庭園が見えるテラスで優雅なランチを楽しむ。

また、ある時には「星の王子さまミュージアム」を訪れて、可愛らしい景観と「星の王子さま」の世界観を堪能する。

そして、ホテルの日帰り温泉を利用して、のんびりと露天風呂に入りながら遠くにうっすらと見える富士山を眺めたり、「仙石原すすき草原」で一面をすすきが埋め尽くす景色に感動したりした。

しかし、それらの観光スポットも素晴らしいのだが、箱根に行くたびに、ほぼ毎回欠かさず行っていた、私にとっての定番のお気に入りスポットが一つある。

それがどこかというと、「芦ノ湖」だ。

もしかすると、「湖に何回も行って何をするんだろう?」と、不思議に思う人もいるかもしれない。

芦ノ湖には、湖を周遊する海賊船があり、それに乗ることもあった。

だが、芦ノ湖に行って私がいつも必ずしていたことは、「湖のほとりに座って、小一時間ほど景色を眺めている」ということである。

「え!?ただそれだけ?」と言いたくなるであろうが、私にはその時間がとても心地良かったのだ。

というのは、まず、お昼過ぎ頃に湖に着いて、ほとりに腰を下ろしてじっとしていると、午後のポカポカとした暖かい日差しに包まれる。

そして、その日差しを浴びながら、青空の下に遠くまで広がる穏やかな湖面を眺めていると、とても静かな気持ちになれたのである。

そうしていると、日頃の疲れやストレスでガサガサとしていたた心が、少しずつ、なだらかに修復されていくように思えたのだ。

「特に何をするのではなくても、ただそこにいるだけでちょっと心が軽くなる」、芦ノ湖はそんな場所だった。

その居心地の良さを知ってから、日々のストレスで疲れた時には、芦ノ湖に癒やされに行くようになったのである。

旅の良さは、ただ観光地を見て回るだけではなくて、そんな何でもないところにもあるものだ。

ちょっと疲れた時に、ふらりとそこに行けば、いつもの心地よい風景が私を迎えてくれる。

そして、ちょっとだけすっきりとした気持ちになって、再び日常の生活に戻ることができるのだ。

箱根には、感動を味わえる感動スポットもたくさんあるが、そんな「心の港」のような居心地の良さを感じられる一面もあった。

箱根は今も変わらず人気の観光地だ。

しかし、私が知っている箱根とは、今では何かが変わってしまっただろうか?

普通に考えて、ずっと何一つも変わらずに当時のままということはないだろう。

それでも、私の中にある箱根の思い出は、いつまでも当時のままだ。

青空の下に広がる芦ノ湖の穏やかな湖面も、すすき草原の圧巻の美しさも、今までのように、これからも私の心の中で再現され、ずっと残り続けることだろう。

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  • この記事を書いた人

ミヤノ カナコ

ブログ運営歴5年目のブロガー・フリーランスライター。OL時代には、多くのカスタマーセンターやヘルプデスクでメール・電話での問い合わせ対応に従事。現在は、ブログでの情報提供のほか、エッセイの発信を中心に活動中。このブログでは、ブログのつくり方や文章の書き方など、ネットビジネスに役立つ情報をお届けします。

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