連載エッセイ

過去の私が「眠れない夜」から得られたもの

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十分で良質な睡眠は健康に必要不可欠だが、「夜なかなか寝付けない」「眠れない」という悩みはしばしば出てくるものだ。

ちょっと寝付きが悪いだけならばまだ良いとしても、ひどい時には、目が冴えてしまって朝まで眠れないまま過ごしたり、それが連日続いて寝不足気味になってしまうこともある。

程度の差こそあれ、誰でも、一度はそんなことで悩んだことがあるのではないだろうか。

私自身も、昔から睡眠に関する悩みはけっこう多い。

そして、そんな眠れない夜の印象深い思い出があるので、ここではその話について書いてみたいと思う。

私は、子どもの頃から「眠れない」「なかなか寝付けない」夜がたびたびあった。

もともと寝付きが良いほうではなく、床に就いてから眠るまでに時間が掛かる上に、「ちょうど眠りに落ちるところを騒音や物音で起こされる」ということもあれば、「不安や心配事があって眠れない」ということもしばしばだ。

そして、心配事があって眠れいない時は結局明け方近くまで起きていたり、寝ようとしたところを騒音で目が覚めてしまう時は、寝ようとしても目が冴えてしまい、その後1・2時間くらいは寝付けなくなってしまうのが昔からのパターンになっている。

そんな時でも、「動画の視聴」「ネットサーフィン」「読書」など何でもできてしまうスマートフォンの存在がある今では、時間つぶしをするのも簡単だ。

最近の私は、寝付けない夜に「ダラダラと動画を視聴する」こともあれば、「ブログのネタを考えてアイディアをメモっておく」「ブログ記事の原稿を書く」「Udemyの講座を視聴する」などして、眠れない時間を有効に活用することもある。

しかし、私が10代・20代の頃には、今のように便利なスマートフォンはまだなく、そんな時間つぶしさえできなかった。

だが、私は「夜の時間」がけっこう好きだったので、眠れない時も「ただイライラしているだけ」ということはなかった。

たとえば、私が昔住んでいた実家の部屋には、窓に面してベッドが置かれていたので、寝付けない夜には、ベッドで上半身を起こしてよく窓から外を眺めていた。

と言っても、高層マンションに住んでいた訳でもなく、窓から見る景色が特別素晴らしかった訳ではない。

窓の外にあるのは、どこにでもあるただの「道路」や「街灯」と「その道路沿いに並ぶ家屋」、そして「その上に広がる夜空」だけである。

しかし、そんな夜の風景が私は好きだった。

窓の外には、しんと静かな薄暗闇に包まれた景色が広がり、どこからか、虫の鳴き声らしき音がかすかに聞こえてくる。

それは何ということもない、どこにでもある夜の風景である。

しかし、それを眠れない夜に一人でただじっと眺めていると、無心の状態になれて、とても心地よく感じたのだ。

時々、その景色の中をぽつりぽつりと人が通り過ぎていくこともある。数人の人が話しながら歩いていて、その話し声が響いて聞こえてくることもあれば、一人でただ黙々と歩く人の姿が見えるだけのこともある。

彼らは、窓越しに自分たちの姿を眺めている私の存在にはまったく気付かず、ただ夜の道をゆっくりと歩いて通り過ぎて行く。

そうして彼らのことを上から見下ろす形で眺めていると、まるで雲の上から地上を眺める天使のような、自分ではない何か崇高な存在になったかのような気分になれることもあった。

また、悩み事や心配事があって眠れない時も、同じようにしばらく外の景色を眺めていたことが多い。

そうしていると自然と心も落ち着き、自分の考えや気持ちを整理しやすかったからである。

そんな風に夜の静寂と暗闇に包まれながら、考えや気持ちを整理すると、翌朝にはそれなりにすっきりとした気分で出掛けることができた。

そして、心配事がある時の眠れない夜は、もう一つ良いことがあった。

翌日に何か心配事を控えている時というのは、朝起きた時の気分は特に憂鬱なものだが、眠れずに夜の時間を延々と起きていると、その憂鬱な朝が来るのが「遠い先のこと」に思えてくるのだ。

もし、一晩中ぐっすりと眠ってしまえば、翌朝起きた時に、眠る前の時間と目覚めた時の間がほんの一瞬に感じられてしまい、前の晩の「心配事を抱えたもやもやとした気持ち」を引きずったままで一日を始めなければならなくなる。

だが、眠れずに外を眺めながら時をやり過ごすと、その分「心配事のある未来」を先延ばしにできたような気になれる。

さらに、その間に、静かに景色を眺めながら気持ちを整理して、心配事に対する心の準備ができまでできてしまうので、ちょっと得した気分になれたのだ。

時には不眠に悩むこともあったものの、そんな風に、眠れない夜は、私にとって気持ちや考え事を整理して、心を落ち着けてくれる貴重な時間でもあった。

今でも夜寝付きが悪いことは多いが、当時とは住むところも変わり、眠れない夜に外の景色を眺めることはなくなった。

なので、それはもう遠い昔の出来事となったけれど、時々当時のことを思い返しては、そんな夜の過ごし方も良いものだったなと、今もしみじみと思っている。

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  • この記事を書いた人

ミヤノ カナコ

ブログ運営歴5年目のブロガー・フリーランスライター。OL時代には、多くのカスタマーセンターやヘルプデスクでメール・電話での問い合わせ対応に従事。現在は、ブログでの情報提供のほか、エッセイの発信を中心に活動中。このブログでは、ブログのつくり方や文章の書き方など、ネットビジネスに役立つ情報をお届けします。

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