連載エッセイ

「土鍋で炊飯する生活」を実践してみて分かったこと

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米が主食の日本では、毎日「ご飯」を食べる人が大半だろう。

たとえ「普段忙しくてあまり自炊はしない」という人でも、「おかずは外で買ってきて、ご飯だけは家で炊く」人も多いのではないだろうか。

そして、おそらくは、どこの家でも炊飯器が常備され、毎日のように活躍していることと思う。

しかし、私は最近、炊飯器を使うのを止め、土鍋でご飯を炊き始めた。

きっと世の中で「土鍋でご飯を炊いている」という人は、それほど多くないだろうと思うので、ここでは「土鍋炊飯」についての話を書いてみようと思う。

私は一人暮らしをしているが、少し前までは5合くらいが一度に炊ける「IH式炊飯器」を使っていた。

わざわざ5合炊きの大きな容量の炊飯器を使っていたのは、言うまでもなく「手間が省ける」からだ。

5合を一度に炊いて、すぐに食べない分はラップに包んで冷凍しておけば、解凍するだけでいつでもご飯を食べられるようになる。

つまり、大きな炊飯器があるだけで、「時短・効率的な家事」が実現できるという訳だ。

だが、その炊飯器を使っていた理由はもう一つある。

その炊飯器はシャープ製の「ヘルシオ」という機種で、自動でかき混ぜてくれる機能があったので、炊飯をする以外にも、いろいろな料理に活用できる優れものだったのだ。

私はこういう「1台何役」のものがけっこう好きで、「容量の大きさ」と「機能性の高さ」で選んだのが、その炊飯器だった。

実際に、私は「お菓子作り」「パスタの調理」「煮豆」「つぶあんづくり」など、いろいろなことにその炊飯器を使っていた。

たとえば、自分でつくると面倒そうなつぶあんも、小豆を洗って砂糖・塩と一緒に入れておき、スイッチを押して2、3時間もすれば出来上がる。

材料を入れてスイッチを押し、後は待っているだけで何でも手軽にできるので、とても重宝していた。

しかし、使い始めてから4年ほど経った時、引っ越しと同時に処分することになった。

そうすると、普通は「新しい炊飯器を買おうか」ということになるだろうが、私は考えた結果、その時は炊飯器の購入を見送った。

と言うよりも、厳密には「炊飯器と土鍋で迷った末に、炊飯器のほうを諦めることにした」のである。

そもそも、なぜ「炊飯器と土鍋」という2つの選択肢が出てきたか、不思議に思う人もいるだろう。

理由は何ということはない。引っ越してきた新しい部屋のキッチンが狭く、スペースを作り出さないと炊飯器を置く場所が用意できなかったからだ。

つまり、炊飯器は置き場所を確保するのが難しいので、炊飯器を使う以外に炊飯する方法を考えてみた結果、前から興味があった「土鍋でご飯を炊く」という選択肢が浮上したのである。

そして、「炊飯器を買うならどこに置くか」で散々悩んだ挙げ句、あまり良いアイディアが出なかったため、最終的に炊飯器の選択肢は消えて土鍋が残ったのだ。

土鍋なら食器棚に収納できるし、さして場所も取らない。

「土鍋を使おう」と決まると、次にどんなものを買おうかで迷ったが、とりあえず一度に2合くらいの量が炊ける、あまり大きくない土鍋を選んだ。

しかし、あれだけ炊飯器を重用していた私である。炊飯器のない生活をすることに一抹の不安を抱いたし、使ったことのない土鍋で本当にうまく炊飯できるのかという心配もなくはない。

なので、いざ土鍋でご飯を炊こうとした時には「うまく炊けるかどうか」とドキドキしながら水加減をして火にかけた。

結局、水分が多かったようで、食べられなくはないものの、最初の炊飯はうまく仕上がらなかった。

だが、水の量を調節して何度か試していったところ、2回目は「多少マシ」になり、3回目からちょうど良い加減で炊けるようになる。

ここまでくると、「土鍋で炊いたご飯は美味しい」と、私はちょっとした感動を覚え始めた。

「美味しい」と言うと、味の良い料理が皆ひとくくりの言い方になってしまうが、土鍋で炊いたご飯の美味しさは、炊飯器を使って炊いたご飯とは「違う種類の美味しさ」だという感じがした。

表現が難しいが、あえて言うなら、土鍋で炊いたご飯のほうが「食べた気になった」と言うか、「ご飯を食べた」という満足感が強く感じられたのである。

炊飯器よりも土鍋で炊くご飯のほうが栄養価が高いとか、そういう事実があるかどうかは分からない。

しかし、何となく「体が喜ぶ食事ができた」という気がしたのだ。

土鍋でご飯を炊くのにはこんな良さがあるのかと、私はちょっとうれしくなって、「土鍋を買ってみて良かった」と思った。

しかし、喜んだは良いが、土鍋を使ってご飯を炊くのが「効率的ではない」ことには違いはない。

当然のことだが、炊飯器を使えば、炊いている間火加減や時間を気にしていなくても良いし、洗い物も少ないので、炊飯器を使うほうがずっと楽なのだ。

さらに、土鍋を使うと、2合を炊くのに毎回30分ほ近く火にかけているので、気が付くと毎月のガス代もけっこう掛かっている。

何でも、物事は良いことばかりではない。

何を選んでも、メリットとデメリットは両方が存在するものだ。

そんなこんなで、再び炊飯器を買おうかと悩み始めている自分がいる。

しかし、便利なものには便利なものの良さがあるとはいえ、土鍋のような原始的なやり方でご飯を炊くのも「昔ながらの自然な生活」という感じで良いものだ。

炊飯器をずっと使っていたら、土鍋で炊いたご飯の味も知らず、そんなことを思うこともなかっただろう。

たとえ、また炊飯器を使うようになって「時短・効率的な家事」を再現するようになったとしても、土鍋を使ってご飯を炊いたことは、実際にやってみて得られた一つの貴重な経験になったと思う。

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ミヤノ カナコ

ブログ運営歴5年目のブロガー・フリーランスライター。OL時代には、多くのカスタマーセンターやヘルプデスクでメール・電話での問い合わせ対応に従事。現在は、ブログでの情報提供のほか、エッセイの発信を中心に活動中。このブログでは、ブログのつくり方や文章の書き方など、ネットビジネスに役立つ情報をお届けします。

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