連載エッセイ

旅先で食べた「格別の味」のソフトクリーム

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老若男女を問わず、ソフトクリームが好きな人は多いことだろう。

しかし、ひとことで「ソフトクリーム」と言っても、「コンビニで売っているソフトクリーム」「サービスエリアで食べるソフトクリーム」など、いろいろある。

どれもソフトクリームには違いないが、食べる場所やシチュエーションによって、その味わいは違って感じられることもあるのではないだろうか。

私は先日京都へ一人で小旅行に行ってきたが、そこで食べたソフトクリームが一味違って感じられたので、ここではその話について書いてみたいと思う。

私は、昔からソフトクリームが好きだ。

と言っても、「実は乳製品が体質的に合わないようだ」と最近気付き、あまり乳製品自体を食べないようにしているのだが、旅先などの休憩所でソフトクリームが売っているのを見つけると、つい食べてしまう。

ソフトクリームの「もったりとした滑らかな食感」と「口の中で広がる乳製品特有のコク」がたまらない。

そんな食感とコクが織り成す、やさしい味わいがソフトクリームの魅力ではないだろうか。

たとえば、ソフトクリームの競合関係にある食べ物に「かき氷」があるが、かき氷からは「涼しさ」は得られても、ソフトクリームのような癒やしにも似たやさしい味わいは得られないものだ。

なので、ソフトクリームは季節や場所に関係なく、暑い時期でなくても食べることが多いだろう。

しかし、ソフトクリームを食べる場所と言えば、トップを飾るのは「観光地」ではなかろうか。

私は先日の京都旅行で、まず祇園四条に出て、二年坂・三年坂を散策してきたのだが、その間にソフトクリームを売っている甘味処をいくつも目にした。

それらの中には、京都らしい「抹茶ソフト」、よく旅行サイトで紹介されている「豆乳ソフト」、めったに見ることのない「金箔ソフト」「醤油ソフト」など、さまざまなソフトクリームがあり、道行く観光者たちにその存在をアピールしていた。

それらのどれにも興味を引かれたものの、優柔不断な私は「やっぱり京都だから抹茶ソフトがいいかな」「でも醤油ソフトもどんな味だか気になる」「プレミアムチョコレートも美味しそう」などと目移りし始めた。

だが、いろいろな種類があるとは言っても、ソフトクリームばかりいくつも食べる訳にはいかない。

どれか一つを選ばなければいけないのだ。

しかし、そうなると、どれを食べても「やっぱりあっちの味が良かったかも」「あれも食べてみたかったなあ」などと後悔しそうで、逆に何も食べる気にならなくなった。

めったに食べられないご当地ソフトも良いが、こんなに選択肢が多いというのは、ある意味罪だ。必ず食べたくても食べられないものが出てきてしまうのだから。

そんなこんなで、優柔不断ぶりを遺憾なく発揮した私は、せっかく二年坂まで来ておきながら、ソフトクリームと縁がないまま旅の初日が終わった。

そして、その翌日、私は伏見稲荷大社に参拝に行った。

その日は天気もよく、絶好の参拝日和だ。

しかし、天気が良いのはありがたいことだが、夏の京都は日差しが強く、とても暑い。

夏と言っても、もう9月も半ばで実際には秋に近いので、真夏と比べればだいぶ過ごしやすいのだろうが、それでもけっこうな暑さに感じられた。

まず私はJRで最寄り駅の稲荷駅に着いたが、駅の改札口は観光客と思しき大勢の人たちでごった返している。

私はその中を抜けてまっすぐ進み、境内の入り口にあたる鳥居をくぐる。

そして、拝殿で参拝し、千本鳥居をくぐり抜けた。

しかし、その日は朝からあちこち移動していてすでにバテ気味だったのと、後の予定が詰まっていてあまり時間がなかったため、稲荷山を登る途中で引き返すことにした。

そして、急ぎ足で歩き、やっとのことで駅までたどり着いたは良いが、そこで次の電車の時間までまだ20分ほどあることに気付く。

「ならば、休憩をしよう!」と、私は今度こそソフトクリームを食べることにした。

裏参道の近くにあるお店を選び、店頭の椅子に腰掛け、マロン味のソフトクリームを味わう。

この時は時間がなかったし、早く一息つきたかったので、フレーバーにそれほどこだわらなかったが、暑さの中でさんざん歩いた後に食べるソフトクリームは、それがただソフトクリームだというだけで、とても美味しく感じられた。

「暑い時に冷たいもので喉を潤す、これこそがソフトクリームの醍醐味だ」と思った。

その日の暑さでソフトクリームの爽やかさがいっそう引き立ち、歩き疲れた体にやさしい甘さがちょうどいい。

そして、目の前には、昔懐かしい風情ある風景が広がり、目に心地よく映っている。

日常とは違った空間に紛れ込んだような感覚に浸れて、心が落ち着き、安らいだ気持ちになれた。

観光地に来たなら、めずらしいご当地ソフトを堪能するのも楽しみの一つだろう。

しかし、こんな風に、味わいのある風景の中で、ただ暑さと疲れを癒やすために食べるソフトクリームの味は、格別の美味しさだ。

その時のソフトクリームはあっという間に食べきってしまったが、私は十分に満足して束の間の休息を終え、駅までの道を再び歩き出した。

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ミヤノ カナコ

ブログ運営歴5年目のブロガー・フリーランスライター。OL時代には、多くのカスタマーセンターやヘルプデスクでメール・電話での問い合わせ対応に従事。現在は、ブログでの情報提供のほか、エッセイの発信を中心に活動中。このブログでは、ブログのつくり方や文章の書き方など、ネットビジネスに役立つ情報をお届けします。

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